広い売場や大きな会議室で、天井に同じエアコンが2台、3台と並んでいるのを見かけることがあります。実はこれらが1台の室外機につながっている場合があり、こうした構成を業務用エアコンでは「同時運転マルチ」と呼びます。この記事では、同時運転マルチの仕組みとツイン・トリプルの違い、向いている場所と注意点を説明します。
同時運転マルチとは
同時運転マルチとは、1台の室外機に複数の室内機をつなぎ、それらを同時に運転する方式のことです。室内機が2台なら「ツイン」、3台なら「トリプル」、4台なら「ダブルツイン」などと呼ばれます(呼び方はメーカーによって異なる場合があります)。
つながっている室内機は、基本的にひとつのリモコンでまとめて操作し、同じタイミングで運転・停止します。1台の大きな室内機を置く代わりに、能力を複数の室内機に分けて配置するイメージです。
知っておきたいポイント
1. 広い空間の温度ムラを抑えやすい
広い部屋を1台の室内機で空調すると、室内機の近くは冷えすぎ、遠くはあまり冷えないといった温度のムラが出やすくなります。同時運転マルチでは、室内機を部屋の中に分散して置けるため、空間全体を均一に空調しやすくなります。
2. 室外機の台数を減らせる
室内機ごとに室外機を用意する方式に比べ、室外機の台数を少なくできます。室外機の置き場所が限られている建物では、この点が大きなメリットになります。配管や電源の工事をまとめやすい面もあります。
3. ビル用マルチとの違い
1台の室外機に複数の室内機をつなぐ点は、ビル用マルチエアコンと似ています。大きな違いは操作の単位です。ビル用マルチは、部屋ごとに室内機を個別に運転・停止できるのが特徴です。同時運転マルチは、つながった室内機をまとめて動かすため、ひとつの空間を空調するのに向いています。
4. 向いている場所の例
同時運転マルチが使われるのは、スーパーや物販店の売場、大きな会議室やセミナールーム、飲食店の客席、事務所のワンフロアなど、間仕切りのない広い空間です。細長い店舗で、入口側と奥側に室内機を分けて置くといった使い方もあります。室内機1台あたりの能力を小さくできるため、天井に大きな室内機を付けにくい場合にも役立ちます。業務用エアコンの方式を選ぶときは、空間の広さと形、そして「部屋を分けて使うかどうか」を考えると判断しやすくなります。
注意点・よくある勘違い
よくある勘違いは、「別々の部屋に置いて、それぞれ好きなときに使える」というものです。同時運転マルチは、基本的に室内機を個別に止めたり、別々の温度に設定したりする使い方には向いていません。間仕切りのある別々の部屋を空調したい場合は、部屋ごとに系統を分けるか、個別運転ができる方式を検討します。
また、つなげる室内機の組み合わせには、機種ごとに決まりがあります。室内機の能力の合計や、配管の分け方にも条件があるため、自由に組み合わせられるわけではありません。将来、間仕切りを変える予定がある場合は、その点も含めて計画を相談するとよいでしょう。
まとめ
- 同時運転マルチは、1台の室外機に複数の室内機をつなぎ、同時に運転する方式
- 室内機の台数によって、ツイン・トリプル・ダブルツインなどと呼ばれる
- 広い空間の温度ムラを抑え、室外機の台数を減らせる
- 室内機を個別に操作する使い方には向かず、組み合わせにも条件がある
ひとつの広い空間を快適にしたいときは、同時運転マルチを候補に入れて検討してみましょう。